2012年09月13日

ジェッダのアブドゥルアズィーズ国王大学・教育委員会メンバーであり、ダイバーでもあるフサーム・アブドゥッサラーム・ジュムア教授の遭難から40時間後の生還物語(その6)


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サメは私の周りを旋回し続けました。その大きさは私よりも遥かに大きく、その体長は約3メートル程でした。
更にドゥアーをし、「在れ」と言えばそのようにさせられるお方であられるアッラーへの服従心は増大しました。
不思議なことに、「サメが自分から去りますように。」とではなく、「この凶暴な獣を私に扱い易くしてくださりますように」と祈ることをアッラーは私に思いつかせてくださりました。

3時間が過ぎてもサメはまだ私の周りを回り続けていましたが、その時私はサメが私に襲い掛かることを命じられたのではないということを確信し、安心しました。
そうでなければとっくに私に襲い掛かっていたでしょうから。

土曜日のファジュルになり、私はウドゥーをしてファジュルの礼拝を行いました。
再び私は、この自分のウドゥーによる私への守りというか庇護力というか、バリアーのようなものを感じました。
そしてこのサメを警戒しつつ、アッラーに「私への奉仕の為にサメを扱い易くして下さい。私をこの海の悪からお守り下さい。海から救って下さい。」と祈りながらファジュルの礼拝を行いました。

礼拝の後、突然サメがあたかも攻撃したいかのように私に更に近づき私の周りを回り始めました。

その時私はこのサメに襲われたら死あるのみで、もし私がそれに対抗すればサメも気を変えるかもしれないと思いました。
そこで私は残った力を振り絞り、もしこれ以上サメが私に近づいたら全身でこちらからぶつかろう、ひょっとするとサメは私には力があると思うかもしれないと思い、実際にそのようにしました。

私がサメにぶつかって行くと、サメは海の底の方へ潜って行き、再び海面に上がってきました。

サメはあたかも私に「アッラーのしもべよ、私はお前に害を与えることや殺すことを望んではいない。そうすることは私には許されていないのだから。もしそれが許されていたら、お前に気づかれることなくお前の体の一部を喰いちぎっていただろう!」と語りかけているようでした。

そしてサメは再びゆっくりと私の周りを回り始め、それはこの私の旅に同伴することを一任されていることをサメが私に教えようとしているかのようでした。

その後、サメは私にとっては私の周りを回り私の寂しさを慰める普通の魚同様になりました。
そして明るくなると、サメは私が想像したとおりの種類であることを、またサメの創造主の命令により、サメは私を殺したいのではないことを確信しました。
こうして私の心配と不安と恐怖のもとであった後に、サメは私の友達になったのでした。

私はたくさんの船に近づきつつあり、痛みや渇きを忘れ、サメの恐怖から助かったことと船に近づいたことの喜びで一杯になりました。

その時私は国境警備隊のホバークラフトのエンジン音を耳にしました。

私は過去40時間の間に起こったように、今回も彼らが私を見つけることはないと予想していましたが、彼らは私を目指して進んできており、私に近づいてきました。
私は、以前行ったように、私に気付くようにとフィンを外しそれを掲げました。
すると彼らの1人が「あなたはDr.フサーム・ジュムアですか?」と叫びました。
私が「そうです。」と答えると、彼は「安心してください、あなたは助かりましたよ。」と言いました。

彼らは最初私を腕から引っ張り挙げようとしましたが、あまりの痛みに私は落ちてしまいました。
それから彼らは私の方にロープの梯子を投げ、私はホバークラフトに上りました。

立っている事は出来ませんでしたが、私はアッラーに長いサジダを捧げました。
すると彼らの1人が「アッラーに感謝のサジダを捧げるよう、彼をそのままにしておけ。」と言いました。

サジダしたまま私は眠りの中に落ちていきました。

後になって、もし私が巨大な船の方に泳ぎ続けていたら、そこで多くのサメたちに襲われていただろうと言われました。
港に着く前のその地域は「家畜の海」と呼ばれ、病死した家畜たちがそこにいるために沢山のサメが出没し、そうなれば私だと判断するための肉片1つでさえも残らなかっただろうということでした。

彼らは私をホバークラフトセンターに連れて行き、水を私に差し出しました。それはあたかも天国の水であるかのような今までの人生で味わったことのない味の水でした。

私を乗せたホバークラフトは「婚礼」という名前で、実際のところ、救出された日はあたかも現世での2回目の私の婚礼の日のようでした。
国境警備隊員たちの私を救った時の喜びようは信じられないほどのもので、同様に彼らの人生における婚礼のようでもありました。

その後、私が40時間の間に約50kmの距離を移動しており、それはジェッダからマッカにほど近い「アッシュメイシー検問所」までの距離とほぼ同等の距離だと知りました。

私の友人達であるタラアト・マダニーとユースフに関して言えば、金曜日の朝7時にムハンマド・ダッバーグというボランティアグループによって既に救助されていました。
彼らの無事に対してアッラーに称えあれ。
そして私は、私の人生のあの運命の金曜日に、私を知る者も知らない者も、ジェッダ中の家庭・モスク・イマームたちが私の救助を願ってドゥアーしてくれていたのだと知りました。
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2012年09月10日

ジェッダのアブドゥルアズィーズ国王大学・教育委員会メンバーであり、ダイバーでもあるフサーム・アブドゥッサラーム・ジュムア教授の遭難から40時間後の生還物語(その5)


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そして私が夜の最後の3分の1に、最後の力を振り絞って死と戦い、自分に忍耐させ、これらのアーヤを読んでいると、後ろから強い衝撃を感じました。
ゴーグルを装着し、水中を見ると、私にはサメの種類に関する知識がありますが、ホワイトティップという種類のサメを見つけました。

彼(サメのこと)はあたかも私に「お前はここで何をしているんだ?」と言っているようでもあり、また私のことを調べているようでもありました。
これはサメの習性の1つで、サメの視力は弱いので、獲物が何であるのか、そしてその重量・種類、それどころか味や性別などの判断と分析はその体に委ねられているのです。

急に疲労と渇きが消え去り、私に力が蘇りました。
私はアドレナリンの分泌を感じ、命を守るために命と力が私に戻るようにとそれが血液中に注ぎ込まれるのを感じました。

私はその後、あらゆるストレスのもとで二つの副腎髄質から分泌されるアドレナリンの役割に気付きました。
このホルモンは体が困難を乗り越えそれに順応するのを助ける役割の為に創られた幾つもの生命の一連の相互作用の開始を促すのです。
この相互作用の最初に、体が攻撃や逃走に備えるためのエネルギー増加を促す為に、肝臓が血液中に糖を分泌すると、体に酸素をより多く取り入れる為に呼吸が速くなり、増加された糖分と酸素を脳と筋肉に運ぶ為により多くの血を送り出す為、心拍数が上がるのです。

同様にアドレナリン分泌は体に様々な影響を与え、その最たるものが心筋収縮力の増長と心臓の鼓動がより速くなることで、それがまた、心拍数の顕著な増加を促します。
また同様にアドレナリン分泌は抹消血管の収縮や、皮膚や内臓の血管収縮と骨格筋や脳の血管拡張を促します。

そう、あの強烈な一撃こそ、抵抗を続けて諦めない為に私がもっとも必要としていたものだったのです。
ですが、私は心の中で笑い、主に助けを求めてこう言ったのです:

「おお、主よ、私に足りないものはこれなのですか?―アスタグフィルッラー―主よ、私はあなたに私を救って下さいと祈っているのに、あなたは私にサメをお送りになられるのですか?主よ、私は、あなたの神性と主性においてもし私をあなたの御許に召されるのであれば、このサメの口の中でバラバラに切り裂かれた状態ではなく、1つの体のままお召し下さい。」

私は今までにサメをこれほど近くで見たことはありませんでした。
それは私の周りを旋回し始めたので、サメの種類を確認する為に私も自分の周りを旋回し始め、それがホワイトティップであることを確信しました。
この種のサメは強く賢いだけではなく、獲物に喰らいつく時にはさんご礁の上に上ることも出来るのです。

過去に私は漁の最中にそれほどの大きさでは無かったものの、同じ種類のサメを見たことがありました。
その時私は釣った魚を手にしていたのですが、サメはそれに襲い掛かり、私は自分を守る為に釣った魚を犠牲にし、魚を散弾銃とともにサメの方に放り投げました。

私は主に、この獣を私に扱い易くして下さりますようにと祈り、また「私は完璧なアッラーの御言葉によってかれがお創りになられた悪からのご加護を願います。」「その御名とともにあれば、天地にあるいかなるものも害することのないアッラーの御名において。そしてかれは全てを聞き知るお方です。」というドゥアーを多く唱えました。
posted by ターリブルイルム at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | アル=クルアーン暗記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月28日

ジェッダのアブドゥルアズィーズ国王大学・教育委員会メンバーであり、ダイバーでもあるフサーム・アブドゥッサラーム・ジュムア教授の遭難から40時間後の生還物語(その4)


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そして2晩において、寒さから私と死を隔てた全ては、私が述べたこの話の中で最も卑小なものだったのです。しかしながら私はそこにおいて、「しもべ」という意味とアッラーに対する人間の完全なる弱さを認識しました。
震えが酷くなり低体温に陥るのを恐れた時、寒さから私と死を隔てたものが、日中は我慢して夜まで貯める努力をした熱い尿の滴りだったことと信じられますか?
ダイバースーツの中のこの滴りこそ温かな生の滴りとなったのです。

疲労が最高に達し、降伏のポイントに到達しました。
震えは酷くなり、私はアッラーにこの悪夢からは私を目覚めさせて下さるようにとドゥアーし、言いました:「私は既に力尽き、あなたのお慈悲によって私をあなたの御許に連れていって下さる方が良いのです。」
私は父と妻と3人の娘たちを思い出し、このような試練(自分の死のこと)は彼らには到底耐え切れないだろうと思い、彼らの為に祈りました。

私は深い安らぎを感じました。
というのも私は自分だけが助かり、それから友人達が助からなかったことを知ったならば自分を責めるだろう・・・いったいどうやって、彼らが死に、私だけが助かるのだろう?と思っていたからです。
私は溺死者は天国に入るという意味を実感し、死の淵で、現世で増えた生傷や痛みの為に叫びつつ、水という名の火を注がれているような水地獄の中で生きながらえつつ、天国の恵みに思いを馳せる様になりました。

私は最期の一目として周りに目をやると、陸からどんどん遠ざかる自分を見出し、海が私を飲み込んでいるのだと知りました。
途切れ途切れの意識を必死に集め、シャハーダの意味を意識しつつシャハーダを唱え、自分をアッラーに委ね、目を閉じました。

キブラの方を向く努力をし、この世の思い出と痛み、喜びと悲しみに別れを告げました。
そして自分の主に意識を向け、かれに私に天国を書き留めてくださるよう、海水が私の全ての罪を洗い流してくれましたようにと祈り、反省やイスティグファールをする猶予無くやって来る突然死で自分が死なず、このように死ぬことに関してアッラーに感謝しました。

私は海水を飲み、大地が私の下から割け、私がその中に沈んでいくのを想像し、実際に私は沈み始めました。


すると突如「これこそ命の保全と自殺の境、そしてそれによって天国に行くか地獄に行くかのお前の運命の分かれるのだ。お前は自殺しつつある。」という叫び声が私を呼びました。


そこで私は再び残りの力全てを振り絞り、もう一度泳ぎ始めました。
が、再度、すぐに力尽き、残りの力を振り絞ろうとしても呼吸の苦しさを感じ、ああこれが死が目前に迫っている兆候なのだと知りました。

私は沈み始めましたが、突然強い波が私を海面に押し上げたので、残った力で深く息を吸い、アッラーの御手が私を運び私を持ち上げているのだと感じました。

そよ風が素晴らしく、周りを見ると4−5頭のイルカたちがこの暗闇の中で私の周りを回り、あの美しい声を発しているのを見つけました。
私はそれを彼らの創造主への賛美のワンシーンなのだと思い、そうしてそれが、たとえ後からであっても自分を救ってくださるのは至高なるお方なのであると私に教えてくださる為に、アッラーが私に送ってくださった生の徴なのだと知ったのでした。

波が私を持ち上げ、私と海の間を隔て、またそよ風が私の肺と体に生命を詰め込み、また私は海に飲まれるのでした。
そしてイルカの一群が私たちが理解できない言葉で彼らの主を讃えながら私の周りを回るのでした。

主は私に再び静けさを下し、私は再び助かることを考え始めました。
遠くにあたかも町の一部であるかのように入港待ちの列を作っている船を見ました。
それが危険であることを知りつつも選択肢は無く、私は船のほうへ泳ぐことを決めました。
これらの船のいくつかは巨大なエンジンは止められており、ひょっとするとこれらの1つにたどり着けるかもしれないと、それらのうちの最も小さい方に向かいました。
私はそこに近づくことが出来、ひょっとすると誰かの耳に入るだろうと2ヶ国語で大声で叫び始めました。まだ夜明け前でしたが、何の効果もありませんでした。

アッラーは私に、足を休ませ、数秒水かきに寄りかかるように、頭の下に水かきの1つを置く事を思いつかせて下さりました。
私は自分の顔の下に水かきを置くと波が私を押し上げるのを発見し、それを枕のようにして、次の波が自分に打ちつけて目が覚める前のほんの数秒居眠りし始めました。

その時、アッラーは私に次の御言葉でかれに祈ることを思いつかせて下さりました:

『(苦難の為に)必死な者が祈る時、誰がそれに答えて災難を除き、あなたがたを地上の後継者とするのか。アッラーと共に(それが出来る他の)神があろうか。だがあなたがたは、少しも留意することがない。』 

「アル=ムッタッル(苦難の為に必死な者)」という単語がアル=クルアーンの中のアン=ナムル(蟻)章の62節で一度だけしか述べられていないことをその時は知りませんでした。
posted by ターリブルイルム at 06:17| Comment(0) | TrackBack(0) | アル=クルアーン暗記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする