2011年10月31日

『ハッジとウムラの諸規定の簡易化(質疑応答形式)』より(要点の抜粋)その3



ハマド・ブン・アブドゥッラー・ブン・アブドゥルアズィーズ・アル=ハマド著『ハッジとウムラの諸規定の簡易化(質疑応答形式)』より(要点の抜粋)その3

第3の集まり



1、イフラームの状態になった者に禁止されるのは9つの事柄である。

2、1つ目の禁止事項は体のいかなる部位からであろうと「毛を剃る(あるいは抜く)事」である。1本の毛には1人の困窮者へ食事を施すこと、2本の毛には2人の困窮者へ食事を施すこと、3本以上でフィドヤ(損害による贖罪)が課される。

3、2つ目の禁止事項は、爪を切ること。毛に関する規定と同様、爪1本で1人の困窮者へ食事を施すこと、2本の爪には2人の困窮者へ食事を施すこと、3本以上でフィドヤが課される。

4、爪が割れ、切らないと害になる場合には切ってもよい。この場合は何も課されない。

5、3つ目の禁止事項は、男性は帽子その他の物で直接頭を覆うこと。女性は顔を覆うこと、手袋の着用が禁じられる。マハラム以外の男性が回りにいる時には二カーブとブルカゥ以外のもので顔を覆ってよい。傘をさしたり、頭にカバンや布団を乗せて運ぶのは構わない。

6、4つ目の禁止事項は、マヒートの着用で、これは男性のみに禁じられる。マヒートゥとは長上衣などのように、体全体に合わせて縫製された衣類のことで、シャツなどのように、体の上半身部分に合わせて縫製された衣類、ズボンなどのように、体の下半身部分に合わせて縫製された衣類、手に着ける手袋、足に着用する靴や靴下、頭に着けるターバンや帽子など、体の一部分に合わせて縫製された衣類を指す。ベルトやウェストポーチなどを着けることは構わない。時計や指輪を身に着けるのは構わない。

7、5つ目の禁止事項は、ムフリム(イフラーム状態にある者)が体や衣服にお香や香水などの香りをつけること。香り付きのオイルを塗ったり、自らの意思で香りを嗅ぐことは購入目的以外では禁じられる。イフラーム前につけた香りが体や衣類に残っていても問題はない。サフランは香りとみなされるため、サフラン入りのコーヒーを飲むことは禁じられる。ミントやその他のハーブは「香」とは見做されないので使用しても問題ない。

8、6つ目の禁止事項は、食用可能な陸上生物の殺生や狩猟。

9、7つ目の禁止事項は、婚姻や婚約の契約。自分が婚姻してもならないし、他人を婚姻させてもならない。もしムフリムが婚姻の当事者であったり、後見人であればその婚姻は無効となる。ムフリムが婚姻の証人となるのはマクルーフ(嫌悪される事)だが、その婚姻は正当なものと見做される。

10、8つ目の禁止事項は性交で、もしイフラームの部分的解除前にこれを犯してしまえば、巡礼自体が無効となり、ラクダ1頭を犠牲として屠り、無効となったにもかかわらず巡礼を完遂する義務がある上、翌年にその巡礼のやり直さなければならない。イフラームの部分的解除後に性交してしまった場合、巡礼は無効とはならないが、羊を犠牲として屠り、ミーカートに行き、新にイフラームの状態になり白いイフラームを身につけ、タワーフ・アル=ィファーダを行う。相手の女性も自らそれに応じた場合、同様のことが課される。
自らの意思に反していた場合は何も課されない。

11、イフラームの部分的解除とは投石・剃髪・タワーフ・アル=イファーダという3つの儀のうちどれか2つを済ませた場合に実現される。

12、9つ目の禁止事項は、性交にまで至らない範囲での性交渉で、ハッジやイフラームは無効にならないが、損害の贖罪が義務付けられる。

13、ムフリムが頭を掻いたり、イフラームを取り替えたり洗ったりすること、グスルをすることは許される。

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2011年10月30日

『ハッジとウムラの諸規定の簡易化(質疑応答形式)』より(要点の抜粋)その2



ハマド・ブン・アブドゥッラー・ブン・アブドゥルアズィーズ・アル=ハマド著『ハッジとウムラの諸規定の簡易化(質疑応答形式)』より(要点の抜粋)その2

第2の集まり

翌日、登場人物のアブドゥッラハマーンとアブドゥッラー、ムハンマド3人は巡礼の知識がある、とあるシャイフを訪れる。

1、分からない事がある場合、その専門の知識がある者に質問すべきである。至高のアッラーは仰られた:『もしあなた方が知らないのであれば、知識のある者に訊ねなさい。』(16:43)

2、ハッジのやり方はタマットゥウ・キラーン・イフラードの3とおりある。

3、ハッジの時期はシャウワール、ズルカアダ、そしてズルヒッジャ最初の10日間である。シャウワールはイスラーム暦10月、ズルカアダは11月、ズルヒッジャは12月のこと。

4、タマットゥウとは、ハッジの時期にまずウムラを意図してイフラーム状態になり、ウムラを終えてイフラーム解除を行った後、同じ年にハッジの為のイフラームをし、ハッジを行うこと。

5、例えばズルヒッジャの5日にウムラを意図しイフラーム状態になり、タワーフ・サアイを行い、髪を切ってイフラーム解除し、一旦イフラーム中の禁止事項のどれでも(通常の服を着たり、香水やお香をつける、その他)行える状態になり、その後、同年のズルヒッジャ8日目にハッジの為のイフラーム(ニーヤ)を行う。至高のアッラーの『・・・小巡礼をして大巡礼までの間を楽しむ者は容易に得られる犠牲を捧げなければならない・・・』(2:196)にある通り、犠牲が義務となる。

6、しかし、ハッジの時期にウムラを成し遂げ、その後80km以上の距離の旅行をし、それからその同年にハッジを行う場合、犠牲は課されない。というのも犠牲がムタマッティウ(タマットゥウ形式でウムラとハッジを行う者)に課されるのは、1つの旅で2つの宗教儀礼を行う為だからである。

7、ムタマッティウはミーカートで「ラッバイカ ウムラ(ウムラの為にあなたの御許に馳せ参じます)。」と言い、ウムラ後ハッジの為にイフラームを行う時には「ラッバイカ ハッジャー(ハッジの為にあなたの御許に馳せ参じます)。」と言う。

8、「ラッバイカ ウムラタン ムタマッティアン ビハー イラルハッジ(享受しつつハッジへと移行させるウムラのために、あなたの御許に馳せ参じます)。」と一部の人々が言っている言葉は、特に預言者(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が言った言葉ではない。

9、キラーンとは、途中でイフラームを解除すること無しにウムラとハッジを同時に行うこと。

10、この場合、ミーカートでは「ラッバイカ ウムラタン ワ ハッジャー(ウムラとハッジの為に、あなたの御許に馳せ参じます)。」と言う。ムタマッティウと同様、犠牲が課される。

11、イフラードとはウムラ無しに、ハッジの為だけにイフラームするハッジの形式。イフラードでハッジを行う者は自ら臨んで犠牲を行う場合を除いて、犠牲を課されない。

12、ムフリド(イフラードでハッジを行う者)とカーリン(キラーンでハッジを行う者)がする行為は同じで、タワーフ(ハッジ・ウムラの根幹のタワーフのこと)とサアイをそれぞれ1回するのみである。タワーフ・アル=ワダーゥ(別れのタワーフ)に関しては、全ての形式でハッジを行う者にマッカを出る際に課される。もしマッカを出る日まで根幹のタワーフを遅らせた場合には別れのタワーフの義務が免除される。

13、ムタマッティウに関していえば、ウムラのタワーフとサアイ、そしてハッジのタワーフとサアイをそれぞれ行わなければならない。

14、ムスリムはこの3形式の中からハッジの様式を選べるが、預言者(彼に祝福と平安あれ)がサハーバ(教友たち)に特にそれを命じたことから、タマットゥウのやり方が最も良い方法とされる。

15、「イフラーム」とはハッジ、あるいはウムラの巡礼の諸行の開始を意図すること。自分の国を出発し、ミーカートに着いたら、このイフラームのニーヤをする事無しにミーカートを通過してはならない。このニーヤによりイフラーム中の禁止事項がすべて禁じられる。このニーヤをしたからにはハッジあるいはウムラの諸行を完遂しなければならず、途中でやめることは許されない。

16、持病の悪化や敵の妨害、あるいは女性で月経や産後の悪露の時期がハッジやウムラと重なり、ハッジ・ウムラの諸行の完遂が不可能になることを恐れる者はイフラームの際に条件をつける。つまりイフラームの際に「イン ハバサニー ハービス ファマヒッリー ハイス ハバスタニー(もし阻むものが私(の巡礼の遂行)を阻んだら、私の(イフラームを解く)場所はあなたが私を阻まれた所です)。」と言うこと。これにより、もし何かによって巡礼を妨害されたり病状が悪化したり生理が来たりしてもその場で犠牲を課されることなく、イフラームを解くことができる。

17、もし条件をつけなかった場合は、イフラームを解く前にその場で犠牲を捧げなければならない。至高のアッラーは仰られた:『・・・もしあなた方が妨げられたならば、容易に得られる犠牲を捧げなさい・・・』(2:196)

18、ミーカートではグスル・爪を切ること・腋毛を抜く・陰毛を剃る・体に香りをつけることが望ましい(男性のみ)。そして清潔な2枚の白い布(イフラーム)を上下それぞれ身につける。もしミーカートで義務の礼拝時に遭遇した場合、義務の礼拝後にイフラームを行うのが望ましい。もし義務の礼拝時に遭遇しなかった場合、特に礼拝する必要なない。「イフラームの2ラカートの礼拝」というのは特にスンナでは言及されていない。

19、イフラームの状態になったならば、タルビヤを口にする。タルビヤは状況が変わる度に口にする。例えば、上り坂・下り坂・グループとの遭遇・宿泊場所に着いた時・乗り物に乗った時・義務の礼拝後などにタルビヤを行う。タルビヤとは「ラッバイカッラーフンマ ラッバイク ラッバイカ ラー シャリーカ ラカ ラッバイク、インナルハムダ ワンニアマタ ラカ ワルムルク ラー シャリーカ ラク(アッラーよ、あなたの御許に馳せ参じました。あなたの御許に馳せ参じました。あなたの御許に馳せ参じました、あなたに並ぶものはありません。あなたの御許に馳せ参じました。称賛と恩恵と主権は、並ぶものなきあなたにこそ属します)。」と言うこと。男性は声高に、女性は小声で言う。

20、ムタマッティウはウムラのタワーフ開始時(厳密にはタワーフ開始時に黒石に触れた時)にタルビヤを止める。ズルヒッジャ8日目にハッジの為のイフラーム後、再びタルビヤを言い、ズルヒッジャ10日目のアル=アカバの投石を行うまでタルビヤを続ける。

21、ムフリドとカーリンはタルビヤを続け、ズルヒッジャ10日目のアル=アカバの投石を行うまでタルビヤを続ける。

22、ウムラの為にイフラーム状態になった者は、タワーフ開始時(厳密にはタワーフ開始時に黒石に触れた時)にタルビヤを止める。

23、ミーカートとは巡礼者達がそこからイフラームの状態になる場所のことで5つある。アル=マディーナの住人とそこを通過する者のミーカートであるズルフライファ、シャーム・エジプト方面の人々とそこを通過する者のミーカートであるアル=ジュフファ(現在はラービグからイフラームを行う)、イエメン地方、及びその付近の地域の住民と、そこを通過する者のためのミーカートであるヤラムラム(現在は「アッ=サアディーヤ」と呼ばれる)、ナジド地方、ターイフなどその付近の地域の住民と、そこを通過する者のためのミーカートであるカルヌ・アル=マナーズィル(現在は「アッ=サイル・アル=カビール」と呼ばれる)、イラクとその付近の地域の住民、及びそこを通過する人々のためのミーカートであるザート・イルク(現在はアッ=ダリーバと呼ばれる)ています。またミーカートよりもマッカ側に居住している者は、そこからイフラームに入る。

24、マッカの住民、あるいはマッカ滞在者はウムラの為にはタンイームからイフラームの状態になる。

25、ハッジあるいはウムラの為にミーカートを通過する時には必ずイフラームの状態となっていなければならない。


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2011年10月29日

『ハッジとウムラの諸規定の簡易化(質疑応答形式)』より(要点の抜粋その1)



ハマド・ブン・アブドゥッラー・ブン・アブドゥルアズィーズ・アル=ハマド著『ハッジとウムラの諸規定の簡易化(質疑応答形式)』より(要点の抜粋その1)

第1の集まり

1、登場人物のアブドゥッラハマーンとアブドゥッラー、ムハンマド3人の習慣として、金曜合同礼拝後誰か1人の家に集まるというものがある。その集まりの中で彼らは、その日の金曜合同礼拝のハティーブ(説教師)がフトバ(説教)の中で述べた信条・訓戒・法規定・その他について、話し合っていた。

2、この方法は説教の静聴を促し、忘却、あるいはその他による誤った理解を正すのに役立つ。

(訳者注:1、2ともにハッジとウムラの法規定とは直接関係無いが、ムスリムたち、特に若い世代のムスリム達にこのような習慣があったら素晴らしいと思ったので、敢えて抜粋した。)

3、その日のフトバはハッジ(大巡礼)とその法規定に関するものだった。

4、至高のアッラーは『そしてそうすることが出来る人々には、その館を訪問するというアッラーへの義務がある。』(アル=クルアーン3:97)と仰られたので、「精神的に健常な成人ムスリムで、肉体的・経済的にそれが可能な者にとってハッジは義務」である。

5、返済期限の迫っている借金がある者にはハッジは義務ではない。

6、返済期限の迫っていない借金だが、すぐにそれを返済しようとしている者にもハッジは義務ではない。もし、直ぐに返済しないつもりで、自分と家族の必要経費以上の富があればハッジは義務となる。その場合、借金の保証人がいなかったり、既に双方で合意している担保が無い場合は、ハッジに行くことに関して貸し手に許可を求めなければならない。

7、女性は、精神的に健常な成人ムスリムであるマハラム(夫婦関係にある者や乳親族の関係にある者、またいかなる状態においても婚姻が許されない近縁関係にある父や兄弟や息子のこと)がいない場合、彼女にとってハッジは義務ではない。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の「女性はマハラムなしに旅行してはならない。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承 )という言葉による。

8、安全なハッジ団の中では信頼の置ける女性グループとハッジに参加することも必要に応じて可能。

9、ハッジが義務付けられた者はすぐにハッジに参加すべき。というのも人はいつ、自分にとってハッジが不可能になるかわからないから。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の「ハッジを望む者は、(できる限り)早く、それを行いなさい。」(アブー・ダーウードの伝承 )という言葉による。

10、ハッジやウムラの知識が十分にあると知られているシャイフがそのハッジ団にいるグループでハッジを行うのが望ましい。というのも、ハッジ中に義務付けられる行為を忘れたがゆえに、後々犠牲を屠ることが義務付けられたり、イフラーム中の禁止事項を犯してしまったが故に損害の贖罪が義務付けられたりすることが、ハッジから戻ってから判明する巡礼者たちも多いため。

11、実際にハッジやウムラを行っている間は、その宗教的諸行為の為に多忙であったり、ハッジの諸規定をその場だけで十分に理解することは難しいので、前もってハッジやウムラについて出来る限り十分に学び、理解しておくことが大切。


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